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zoom RSS 健康情報のウソ・ホント〜その4〜

<<   作成日時 : 2009/08/31 16:45   >>

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今回の主張は、論文の結論を鵜呑みにしてはいけない、ということである。
なぜなら、前回のビタミンB12の研究でも明らかなように、データを見る側(論文の著者)にはバイアス(思い込み)があり、そのバイアスがデータの解釈をゆがめることがあるからだ。

普通何かの試験をするときは、あらかじめ結果の予測をすることがあるが、ある主張を裏付けるためにデータをとる場合、主張にそぐわないデータを軽視し、合いそうなデータだけを引っ張ってくることがある。

よって、論文を引用するときは、その結論だけを利用するのではなく、中身(データ)まで見た上で本当に著者の言うような結論が導き出せるのかどうか、判断した方がよいと思う。

実例をあげよう。
*  *  *

「卵を食べる回数が多い女性では,全死亡リスクが増加する」という論文がある。1)
http://www.epi-c.jp/entry/e007_0_0002.html

これは日本の300地区に住む30歳以上の住民1万人以上(10546例)を対象とし、9263例を14年間追跡調査したものであり、卵の摂取量と動脈硬化の関連について日本で初めて行われた調査といえるそうだ。

卵を食べる回数によってグループ分けし(毎日2個以上、毎日1個、2日に1個、週に1〜2個、ほとんど食べない)、その全死亡率と虚血性心疾患の死亡率が出されている。

で、この調査では結論として「卵の摂取量が総コレステロール摂取量に大きく影響している地域の女性では,卵の摂取制限が健康によい影響をあたえる可能性がある」としている。

これだけ読めば、「ああ、やっぱり卵は食べない方がいいんだな」と誰でも思う。

でも実際のデータを見てみると「あれ?」と思う。
卵の摂取頻度ごとの女性の全死亡率,および虚血性心疾患死亡率は以下のとおり(1000人・年あたり)。

[ほとんど食べない]14.5,2.0,[週1〜2個]7.5,0.5,[2日に1個]7.5,0.4,[1日1個]8.0,0.5,[1日2個以上]14.8,1.1

確かに1日2個以上は全死亡率や虚血性心疾患死亡率が増えているが、1日1個、2日に1個、週1〜2個ではほとんど変わりない。
そして「ほとんど食べない」ではまた全死亡率や虚血性心疾患死亡率が増えている。(特に虚血性心疾患死亡率については目をひくものがある)。

このデータを、何の先入観もなく見て言えるのは、「卵を1日2個以上毎日食べるのもよくないが、卵をほとんど食べないのもよくない。」ということである。
(そして、ある本2)に転載されたデータによれば、この試験で卵1日2個以上食べる女性の数は78人と少なく、データの信頼性に乏しい。)

実際、同じデータを見た別の教授(浜崎智仁教授)3)は、「卵をたくさん食べると危険だという統計はないといってよい」と結論づけている。
(卵を1日2個以上食べる人の総死亡率が高くなるのは、その分魚を食べなくなるからではないかと浜崎氏は言っている。魚の摂取が減ればガンその他の死亡率が上がり、総死亡率が高くなるというデータがあるそうだ。平山による17年におよぶ調査)

同じデータをもってしても、そこから導き出す結論が違うのはどういうわけか。
それはバイアス(思い込み)のせいではないかと思うのだ。

上の調査はNIPPON DATA80といって、厚生労働省が指導している日本のコホート調査(疫学調査のひとつ)である。
やはり「コレステロールが高いと心疾患死亡率が高くなる」「したがってコレステロールの高い卵は制限をした方がよい」という世間一般の常識から、厚生労働省の意向に沿うようなまとめ方になっているのかもしれないと思う。

その思い込みを排すれば、むしろ常識に反して卵の摂取と全死亡率や虚血性心疾患死亡率については男性にはなんの相関関係もないことの方が目を引く。
女性についても上で述べたように、むしろまったく食べない人の方が全死亡率や虚血性心疾患死亡率が高いという結果になっているのだ。

ちなみに、別の論文(その2年後)では、卵の摂取頻度と冠動脈疾患の発症リスクは相関しないという結果が出ている。4)

別の論文では、卵の摂取頻度と心筋梗塞発症リスクに差がないという結果が出ている。5)

いずれの論文でも、卵の食べすぎはよくない(卵を1日2個以上食べている人たちは、暴飲暴食の可能性も高いのでは?あるいは上の浜崎氏も言うように、おかずが卵に偏っているとも考えられる)とは言えそうだが、毎日1個くらいでは男も女も別段コレステロールが高くなるわけでも、冠動脈疾患の発症リスクが高まるわけでもないことがわかる。
また、いずれの論文でも、卵をほとんど食べないグループに全死亡率や虚血性心疾患死亡率が高い(コレステロール値も高い)という結果が出ている。
これは卵を食べればコレステロールが下がる、というよりは、コレステロールが高い人が卵を食べないようにしている、という面もあるだろう。
それにしても、卵の摂取と総コレステロール値が相関しないのであれば、本当に卵を食べないようにする必要があるのか、とも思える。

高齢者の場合、節度ある摂取をしないと低コレステロールの人の方が脳梗塞などによる死亡率が高くなるというデータもある。6)

*  *   *

一般に論文と聞いただけで証明済みのように思ってしまうものだと思うが、中身を見てみると、それほどでもないものがあるものなのである。引用するときは注意が必要だ。

1)Egg consumption, serum cholesterol, and cause-specific and all-cause mortality: the National Integrated Project for Prospective Observation of Non-communicable Disease and Its Trends in the Aged, 1980 (NIPPON DATA80). Am J Clin Nutr. 2004; 80: 58-63.pubmed

2)『「ちょいメタ」でも大丈夫』(大櫛 陽一 ・PHP研究所)
3)『コレステロールは高いほうが長生きする』 (浜崎智仁・エール出版社)

4)[2006年文献] 卵の摂取頻度と冠動脈疾患の発症リスクは相関せず
Egg consumption, serum total cholesterol concentrations and coronary heart disease incidence: Japan Public Health Center-based prospective study.Br J Nutr. 2006; 96: 921-8.pubmed
http://www.epi-c.jp/entry/e011_0_0006.html

※卵を多く食べる人は総コレステロール,高脂血症の割合,および拡張期血圧が有意に低いという結果が出ている。
5)Egg consumption, serum total cholesterol concentrations and coronary heart disease incidence: Japan Public Health Center-based prospective study. Nakamura Y, Iso H, Kita Y, Ueshima H, Okada K, Konishi M, Inoue M, Tsugane S. Br J Nutr. 2006 Nov;96(5):921-8.
http://journals.cambridge.org/action/displayAbstract?fromPage=online&aid=932572

6)高齢者においてHDL-Cと脳梗塞は逆相関
High density lipoprotein cholesterol and the risk of stroke in elderly men: the Honolulu heart program.Am J Epidemiol. 2004; 160: 150-7.pubmed
http://www.epi-c.jp/entry/e101_0_0012.html

高齢者において総コレステロール低値例の死亡率は高い
Cholesterol and all-cause mortality in elderly people from the Honolulu Heart Program: a cohort study.Lancet. 2001; 358: 351-5.pubmed
http://www.epi-c.jp/entry/e101_0_0019.html

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